オフィスでメンズセットアップを着るときのポイント
統一感のある上着とパンツが組み合わされたメンズセットアップは、オフィスカジュアルの着こなしが浸透する中でより存在感を増してきた存在といえます。比較的カジュアルな場面で適度に砕けたスタイルを演出することのできるメンズセットアップですが、ここでは改まったオフィスでもお洒落に着こなすためのポイントをいくつかご紹介します。
セットアップとスーツの違いを押さえる
襟の付いたジャケットとパンツの組み合わせはスーツに共通していますが、メンズセットアップの場合、その販売形態と素材に大きな違いがあります。一般的に販売されているスーツは上着とパンツが一揃いになっており、サイズ感も統一されています。対してセットアップの場合は上下が揃っているとはいえ、販売時点では別売りです。
ジャケットとパンツのサイズがジャストサイズで選べるので、上下が揃って初めてバランスが取れるスーツとは異なり、どちらか一方だけを用いたコーディネートをすることもできるので、着回しがしやすいのも特徴です。
また、一見するだけではわかりづらいのですが、素材による質感の違いも非常に大きなポイントです。一般的にスーツにはウールが用いられますが、その中でも梳毛あるいはウーステッドと呼ばれるちぢれのない均一な長さの羊毛が生地の素になっています。
一方のカジュアルなジャケットでウールを用いる場合には、紡毛あるいはウーレンと呼ばれる短い羊毛を紡いだ糸が生地の素になっています。ウーステッドが滑らかで光沢を持つのに対してウーレンは空気を含んで温かく、生地に表情が生まれやすい特徴があるのです。
また、カジュアルなジャケットにはリネンやコットンのように光沢はないものの生地に表情が生まれやすい素材が多く用いられており、肩ひじの張らないシルエットに仕上がっています。
シルエットの違いを踏まえて着こなす
オフィスでメンズセットアップを着こなすのであれば、スーツとカジュアルのシルエットが異なっている点を意識することが大切です。適度な光沢と張りのある素材が用いられるスーツの上着は、肩のシルエットもかっちりとした物になるよう、パッドを入れて整えられています。
しかし、カジュアルな上着では肩パッドは小さい物が用いられるか、そもそも使われていません。適度なフォーマル感を残しつつも砕けた着こなしをしたいのであれば、多少肩に張りのあるジャケットが最適です。また、カジュアルな上着はスーツの上着よりも丈が短いのが特徴であるため、大きすぎるサイズを選ばないのも重要です。
さらにオフィスでセットアップを着こなすのであれば、パンツ選びにも注意が必要です。カジュアルの場合には必ずしもワンブレイクのスラックスである必要はありませんが、ビジネスシーンでは幅の広い物や丈の短い物はフォーマルさを損ねてしまうため、ベーシックなシルエットが適しています。
その中でもふくらみのあるテーパードを取り入れることでメリハリのあるシルエットにしたり、履き込みが浅めのパンツで若々しいお洒落さを演出することはできます。オフィスカジュアルは来客があった時に好印象を持たれることもひとつの条件と考えられているので、適度なフォーマルさを残しつつ遊びを取り入れることがポイントです。
TPOや季節感を取り入れやすい
スーツのように決まった着こなしのないセットアップは、小物の使い方ひとつでビジネスにもカジュアルにも使いまわしのできるファッションです。たとえばセットアップの印象を大きく左右するのがインナーで、とりわけオフィスで着こなすのであれば、襟の付いたシャツが適しています。
しかし、タックインにするか、タックアウトでも着られるシャツを選ぶかによってカジュアルさは変わります。フォーマルな印象を少し崩したいのであればスーツに近いタックインのシャツとネクタイを合わせるのがいいでしょうし、適度なカジュアルさを持たせるのであればタックアウトで着るシャツがいいでしょう。
これらはオフィスの性質によって基準が異なるものですが、ビジネスカジュアルが許容されているなら、小物による印象の違いを把握しておくと応用もしやすいです。同時に、ウーレンやリネンのように表情のある素材が取り入れられるセットアップは、素材の違いやインナーの選び方によって季節感を取り入れやすいファッションといえます。
たとえば冬には温かみのあるウーレン素材にハイネックのセーターを取り入れると、温かみがあり季節感のあるコーディネートになりますし、リネン素材は涼し気な印象もあり、夏にジャケットを着用する必要がある場合でも爽やかに着こなすことができます。ウォームビズやクールビズを取り入れているオフィスであれば、季節に合わせた素材と小物が便利です。
カジュアルなシルエットでサイズが自由に選べるメンズセットアップですが、オフィスで着こなすのであれば、体型に合わせた丁度よいサイズ感でフォーマルさのある小物を合わせることが必要です。しかし、その中でも季節感が取り入れやすいので、クールビズやウォームビズにも活用できます。